半夏生

 気が付けば今年も半分が終わり、

7月がスタートしました。


梅雨らしい梅雨もなく、

今年は観測史上最も早い梅雨明けだったとか。


さぁ、暑い暑い夏が始まりました・・・!



日本庭園では早くもセミが騒ぎ始めています。


そしてこの時期に

日本庭園を美しく彩る花、

「ハス」が見ごろを迎えています。



日本庭園の東端に位置する「はす池」は、その大きさ6,250㎡。


1970年の日本万国博覧会の際に造られたもので、


現在は26品種 約1,200株のハスと

7品種 約1,000株のスイレンが

植栽されています。


日本庭園は4つの時代(上代・中世・近世・現代)の

イメージテーマで作庭されており、


このはす池は、

その中の"現代庭園"に位置します。


はす池がこの時代に取り入れられたのは、

仏典の"輪廻"の思想による"回帰"の姿が表現されたもの。


日本万国博覧会当時の「人類の進歩と調和」というテーマの中で

現代から上代へと想いをはせてもらえるようにと

考慮されたものと言われています。



見ごろとなるこの時期にあわせて、

早朝6:30からはす池を特別公開する「早朝観蓮会」が開催されています。

(今年は 6/27(金)28(土)29(日)7/4(金)5(土)6日の 6日間)




早朝から開花し、
お昼前にはそのほとんどが閉じてしまうハスの花は、


咲き始めてから4日で散ってしまう"4日花"。

【1日目】朝早くから咲き始め、8時頃には閉じてしまい、

【2日目】夜明け前から少しずつ咲き始め、昼頃には閉じていきます。

【3日目】早朝に咲き始めてからしばらくすると完全に開き、
そこから少しずつ閉じていくも、完全に閉じることはないのだとか。

そして

【4日目】風の強さにより前後しますが、昼頃には花びらはすべて散ってしまいます。



次々と上がってくるつぼみが花開き、散る。
このサイクルで、約1,200株の花々が8月のお盆の頃まで順々に開花します。



美しく、気品あふれる花とあわせて、

注目すべきは「葉」




雨上がりの水滴が
葉の上でコロコロと転がる様を見た事がある方も多いはず。

ハスの葉の表面には、
超微細の小さな小さな突起物があるのです。

その小ささ、数マイクロメートル。

これらの突起物が水滴を持ち上げる撥水効果の元となり、
この特性は「ロータス効果」と呼ばれ、

私たちの生活にとっても身近な
ヨーグルトのフタや、
米粒のくっつかないしゃもじ、
雨傘などなど。

色々な分野で応用されています。


雨上がりにハスを見る機会があれば、
ぜひ、葉の上の水滴を観察してみてくださいね。




今年はとっても花数が多い、はす池。
甘く華やかな香りも漂い、見応えたっぷりです。




「蓮は泥より出でて泥に染まらず」という言葉の通り、

池の泥水の中からも、真っ直ぐ空に向かって
花芽を持ち上げ茎を伸ばし、それはそれは美しい花を咲かせるハス。


「汚れの中でも決して染まらず、清らかで純真な心や姿を保つ人」

という意味をたとえる言葉ですが、


見習いたいものです・・・



夏を代表する花、ハス。

ここだけでは語りつくせない魅力がたっぷりと詰まっていますので、

見ごろを迎えたこの時期に是非、

日本庭園はす池へ足を運んでみてくださいね。





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